2013年4月20日土曜日

戦術本の読み方




 いまひとつ勝率の伸びない中級者に共通するものがあります。
それは、多くの戦術を知っていることです。知識が豊富なため自分の腕にもそこそこの自信をもっています。しかし、それを活かしきれていないのです。そして活かせていない理由が戦術本を盲目的に信じており、それを知識として蓄えているからです。

麻雀プロや著名人、元タイトルホルダーなど、麻雀の戦術本は本当に多く出版されています。これは名著だと思えるものから、残念な内容にガッカリした書籍まで、そのクォーリティも多種多様です。

私も少なからず目を通してきましたが、どの本にも共通することが1つだけあります。それは本当に信頼できる戦術は必ずその根拠たるデータが同時に記載されているということです。

これは私の持論になりますが、戦術を記載した書籍であれば、その内容は論理的に展開されるべきです。なぜならば、その大部分が数値化できる単純なゲームです。ですから、客観的事実、データがないということはまず考えにくい。であるにも関わらず、データ抜きで語られている戦術があるとすれば、それは単なるその著者の持論であり、到底戦術とは呼べないものです。

(その最たるものが「ツキ」とか「流れ」に頼った戦術です。しかし、このテーマに関してはここでは割愛します。)

 

主張には、2つの要素が必要といわれています。「論拠」と「データ」です。しかし、麻雀における戦術本では、論拠が示されていてもデータ一切載っていないものがほとんどです。実際に、無作為に10冊選び、たまたま共通していた「間4ケン」について調査しました。「間4ケンは危険だ」あるいは「いや、危険ではない」といった主張は違いましたが、その根拠たるデータを示していたのは1冊だけ。その他の書籍は淡々と文章のみで説明しており、中には論拠さえないものも見受けられました。

麻雀は単純なゲームです。
複雑に見えるのはその単純な数値的現象が同時に発生しているからです。絡まった糸も解してしまえば1本の糸にすぎないように、麻雀も単純化して考えるのがもっとも正解に近い。
たとえば、「asbn」から選択する場合、as切りしか考えられません。ところが、「vmがカンされていたら?」「チャンタを狙っていたら?」などという反論が多いのです。そして麻雀ファンはそのような反論を好みます。そして、多くの戦術本がファンの求める内容をチョイスし、「~ですから状況によってはbnを切ることも考えられる」と紹介するのです。

しかし、as切り以外の選択肢は必要ありません。断言できます。
なぜなら、as切りに対してをbn切ることが正解である確率が著しく低いからです。細かな計算式は割愛しますが、as切りの方が有利になる場面というのは1%を下回ります。どれだけ偏った計算してもせいぜい3%程度です。
いかに「○○の場面では、そうでないかもしれない」「状況による」といった戦術が無意味なものであるか、おわかりいただけたかと思います。

これはほんの一例です。
たしかにこのような極端な例は少ないかもしれませんが、多かれ少なかれ、データのない戦術は、レアケースに的を絞って解説しているだけの内容です。戦術としてはまず役にたちません。

「いや、レアケースでも役に立つことはあるかもしれないじゃないか」

たしかにそのとおりです。
しかしこのような戦術は、降水確率10%の日の折りたたみ傘のようなものです。そしてカバンの容量が決まっているように、麻雀も13枚と自牌が決まっています。晴れると分かっている日は傘を置いてその分手広く構えた方がいい。いつも傘を持ち歩くような打ち方では勝率は絶対にあがりません。

 

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